背景
東京都立川市
学校法人 みんなのひろば 
ふじようちえん
加藤積一先生 徳野友美先生
園長        主任
加藤積一先生    徳野友美先生
園長
加藤積一先生
主任
徳野友美先生
先生同士の対話が増え、保育がどんどん楽しくなっています!
先生同士の対話が増え、保育がどんどん楽しくなっています!

導入の背景

日々の保育を振り返るために、ドキュメンテーションを導入

1996年に初代ソニーサイバーショットを購入したことをきっかけに、子どもたちの姿を撮影して簡単なコメントをつけ、紙で保護者に配布し始めました。これが当園のドキュメンテーション活動の原点だったように思います。

時代を経て先生一人ひとりがデジカメを持つようになり、さらにはiPodでの撮影に変わって、今では園全体で毎週5,000枚ほどの写真を撮影しています。ただ、日々これだけ撮影しているにもかかわらず、先生が写真を見直してアウトプットする場がほとんどありませんでした。

子どもたちの成長を実感し、ストーリーのある保育を実現するためには、撮りっぱなしで終わるのではなく、振り返りが必要です。そんなときに、おうちえんドキュメンテーションのことを知り、これを使えば写真を有効活用できるのではないかと思いました。

簡単な活動報告からスタートして、徐々に子どもの心の動きやお友達との関係性などについて記録できるようになっていければいいなと思い、まずは挑戦することを決めました。

実践のポイント

クラスの活動報告ではなく、個人の「育ち」を記録

これまでは月1回のクラスだよりを紙で作成していました。月1回の発信なので、全員が写真に写っている必要があります。写真のチェックやレイアウトにも時間がかかっていました。

おうちえんドキュメンテーションはとにかく手軽に作成・配信できるので、今はクラス全体の報告ではなく個人の学びや育ちをこまめに配信するようにしています。頻度は先生に任せていますが、だいたい週2〜4回の頻度でドキュメンテーションを作成しています。

クラスの活動報告ではないので、毎回全員が写真に写っているとは限りません。保護者には事前にその旨をお伝えし、ご理解・ご了承いただくようにしました。

伝えたいエピソードを、どんどん伝える!

時間をかけて立派なドキュメンテーションをひとつ作成するよりも、自分たちの心が動いた瞬間をこまめに記録し、伝えることを重視しています。情報を発信しようとすると「状況がわかるように何枚も写真を組み込まなくては!」、「文章で詳しく説明しなくては!」と思いがちですが、1枚の写真、10秒の動画で子どもの心の動きはとてもよく伝わります。あまり構えず伝えたい場面をどんどん伝えていくようにしています。

子どもたちの興味・関心がわかる写真を撮る

「何ができるようになったのか」という結果ではなく、遊びや学びのプロセスを記録するようにしています。一つひとつは小さなエピソードですが、それらがたくさん集まることで保育者自身が何を大切にしているのか、子どもたちの心がどう育っているのか、また遊びや学びのストーリーが自然と浮かび上がってきます。保育の振り返りや未来の保育計画に役立つ、より本質的な記録ができるようになったと感じています。

おうちえんドキュメンテーションのメリット

子どもたちを見つめる視点・写真の撮り方が変わった

以前は結果や成果を表すような写真が多かったのですが、ドキュメンテーションに取り組んでからは、子どもの遊びをじっくりと見つめ、心の動きに注目しながら写真を撮るようになりました。写真に特定の子ばかりが写っていたら、それはしっかりと見られていない子がほかにいるということです。翌日はその子をちゃんと見つめよう、ということもできるようにもなりました。

ポジティブな会話が増え、先生の挑戦意欲も向上!

これまでの職員室では「うちのクラスではこれができない」など、マイナスな言葉を聞くことも少なくありませんでした。しかし今では「この子がこんなことに夢中になっていた」など、ポジティブな話題がとても増えています。

お互いのドキュメンテーションを見ながら話をすることも増えました。先生同士が対等に感想を伝え合ったり保育について話し合ったりすることで、先生自身の自己肯定感も高まっているように思います。隣のクラスの活動を見て「私もやってみようかな!」と新しいことに挑戦する様子も多く見られるようになりました。

日々の保育に「つながり」が生まれ始めた

「子どもの日常の姿からこれだけたくさんのことを読み取ることができるのか!」ということを改めて学んでいます。日々の保育にもつながりが生まれ始め、子どもたちが写真を見て「明日はこれをやってみよう!」と発言する様子もたくさん見られるようになりました。

幼虫や貝殻など、子どもたちが夢中になっているものを保護者が持ってきてくれることも増えています。ドキュメンテーションは間違いなく保育の質の向上につながっていると実感しています。

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